何度も繰り返す頭痛・肩こり・腰痛にお悩みではありませんか? 薬や湿布、マッサージで一時的に楽になってもまた繰り返す症状に対し、オステオパシーでは痛む場所だけでなく全身のつながりを検査し、本当の原因を見極めて一人ひとりに合わせた施術を行います。

オステオパシーの扉 第9回|オステオパシーにはどんな施術がある?

オステオパシーの扉|全18回の目次 / 第9回

「オステオパシーの施術」と聞くと、どんな方法を想像するでしょうか。

骨をポキッと動かす方法を思い浮かべる人もいれば、手をそっと当てるだけの非常に穏やかな施術を思い浮かべる人もいます。実際には、そのどちらもオステオパシーで使われることがあります。

オステオパシーには多様な手技があり、その方の身体の状態、年齢、症状、目的や安全性に合わせて組み合わせます。一つの型に当てはめず、改善に向けて必要な働きかけを選べることも特徴です。

まず分かりやすいのが、関節に対するアプローチです。

関節をゆっくり繰り返し動かす方法があります。動きにくい方向へ無理に押し込むのではなく、痛みや抵抗を確認しながら、少しずつ動きを引き出していきます。

一方で、条件が合う場合には、短く速い力を使うスラストと呼ばれる方法が使われることもあります。このとき関節から「ポキッ」という音が出ることがあります。ただし、音が鳴ること自体が施術の目的ではありません。音が鳴らなければ失敗ということでもありません。

次に、筋肉を利用する方法があります。

代表的な考え方の一つが、患者さん自身に軽く力を入れてもらい、その筋収縮を利用しながら関節や筋肉の動きを調整する方法です。施術者が一方的に力を加えるのではなく、患者さんと一緒に行う方法です。

筋肉や筋膜などの軟部組織に直接働きかける方法もあります。

筋肉の走行に沿って圧を加えたり、ゆっくり伸ばしたり、組織の動きに合わせて手を動かしたりします。一般の方から見るとマッサージに似て見える場面もありますが、どの組織のどの動きを変えたいのかを評価したうえで行います。

反対に、「動きにくい方向へ押していく」のではなく、身体が楽になる方向へ一度誘導する方法もあります。

人は痛みがあると、身体が無意識に守るように緊張することがあります。その防御を無理に突破しようとすると、かえって力が入ることがあります。そこで、いったん負担の少ない方向へ組織を置き、緊張が変化するのを待つような穏やかな方法を使うことがあります。

このように、オステオパシーには「直接的な方法」と「間接的な方法」という大きな考え方があります。

動きにくい方向へ働きかける方法もあれば、楽な方向へ一度誘導してから変化を待つ方法もある、ということです。

さらに、靱帯や関節周囲の組織の張力のバランスを見ながら、比較的小さな力で位置を調整する方法もあります。強く押すよりも、組織が最も力を抜きやすい場所を探して保持するような施術です。

オステオパシーには、腹部や内臓周囲の組織に触れるアプローチもあります。

ここは誤解されやすいところです。

お腹に触れるからといって、「手で内臓の病気を治す」という意味ではありません。腹部には筋肉、筋膜、靱帯、横隔膜などさまざまな組織があり、呼吸や体幹の動きにも関係します。オステオパシーの一部の流派では、内臓周囲の組織の可動性や張力を評価し、穏やかに働きかける方法が用いられています。

ただし、内臓疾患が疑われる場合に必要なのは医学的な診断です。腹痛や出血、発熱などがあるときに、手技だけで対応するものではありません。また、こうしたアプローチについての理論や科学的根拠の強さは、手技によって同じではありません。できることと分かっていないことを区別する姿勢が大切です。

頭部に対する穏やかなアプローチもあります。

頭蓋骨そのものだけではなく、首や顎、頭部周囲の軟部組織などに触れながら、非常に小さな力で施術を行う方法があります。これもオステオパシーの中で長く受け継がれてきた領域ですが、説明に使われてきた理論の中には科学的な検証が十分でないものもあります。

そのため、「頭を触れば自律神経が整う」「脳脊髄液を自由に動かせる」といった大きな効果を断定するのではなく、患者さんの状態、安全性、実際の反応を見ながら穏やかな手技の一つとして扱う方が誠実だと考えます。

大切なのは、これらの手技を全部受ける必要はないということです。

関節に対する方法が合う人もいれば、強い痛みのため穏やかな方法から始めた方がよい人もいます。高齢者、骨が弱い人、手術後の人、妊娠中の人などでは、安全性を考えて選択肢が変わります。

また、患者さん自身が苦手な方法を無理に受ける必要もありません。

「ポキポキする方法は怖い」と感じるなら、そのことを伝えて構いません。逆に、非常に軽い刺激だけでは何をされているのか不安に感じる人もいます。どの方法を、何の目的で行うのかを説明し、納得したうえで受けることが大切です。

そして最も重要なのは、「どの手技が一番すごいか」という競争にしないことです。

手技は道具です。

本当に大切なのは、まず状態を評価し、目的を決め、その目的に合った方法を選び、施術後の反応を確認することです。

もし一つの手技ですべての人、すべての症状に対応しようとするなら、それはオステオパシーが大切にしてきた「一人ひとりを見る」という考え方から離れてしまいます。

同じ人でも、その日の状態によって方法が変わることがあります。初回は強い防御があるため穏やかな方法を選び、数回後には運動や関節の動きを使った方法へ変えることもあります。

オステオパシーとは、特別な一つのテクニックの名前ではありません。

評価の結果に応じて、関節、筋肉、筋膜など、さまざまな組織への方法を組み合わせていく考え方です。

では、実際にはどの方法を選ぶのでしょうか。

手技を選ぶときには、少なくとも「目的」「安全性」「本人の好み」「施術後に確認したいこと」の四つを考えます。例えば肩を上げる動きが少ない人に対しても、関節そのものを動かすのか、筋肉の緊張を変えるのか、胸郭の動きを先に見るのかは評価によって変わります。

また、同じ手技でも力の量や時間は一定ではありません。痛みが強い人にいきなり大きな刺激を加えるのと、痛みの少ない範囲で少しずつ動かすのでは、身体の反応が違います。年齢や骨の状態、持病、服薬などによっても、安全に使える方法は変わります。

オステオパシーの施術で腕が上がりやすくなったら、その良い変化を生かして実際に腕を使ってみる。股関節が動きやすくなったら、立ち上がりや歩行の中で使ってみる。こうして施術によって得られた改善を、本人が日常生活で使える動きへとつなげていきます。

そして、どんなに伝統のあるテクニックでも、その人に変化がなければ使い続ける理由を見直します。「この技はすごいから、効くまで続ける」のではなく、施術前後で確認し、必要なら別の方法に切り替える。テクニックより評価が先にある、というのはこういう意味です。

患者さんから「今日はどのテクニックを受けますか?」と聞かれたときに、名称だけでなく「今日はこの動きを変えたいので、この方法を選びます」と説明できることが、分かりやすく安全な施術につながります。

次回は、その中でも特に質問の多い「施術は痛いの?」「ポキポキされるの?」という不安について、もう少し具体的にお話しします。

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