脳震盪のあと、頭痛・吐き気・めまい・首の張りなどが長く続くことがあります。まず大切なのは、脳震盪後の症状を「頭蓋骨の問題だけ」と決めつけず、必要な医学的評価を受けることです。そのうえで当院では、オステオパシーの視点から頭頸部や身体全体に残っている負担を確認します。
このページでのオステオパシーの説明について
頭蓋・膜系・仙骨などを一つの機能的な連続体として捉える考え方は、伝統的なオステオパシーの臨床モデルです。脳震盪の西洋医学的な病態説明を置き換えるものではなく、触診だけで「頭蓋骨のずれ」や「脳脊髄液の停滞」を医学的原因として確定するものではありません。
脳震盪後の頭痛・吐き気が続くとき
脳震盪後の症状は頭痛だけでなく、めまい、バランスの問題、視覚症状、睡眠の乱れ、首の痛みなど複数の形で現れます。症状が長引く場合は、頸部、前庭・眼球運動、頭痛のタイプ、睡眠、運動耐容能などを含めた多面的な評価が重要とされています。
突然症状が悪化する、意識状態がおかしい、手足の麻痺やけいれん、繰り返す嘔吐などがある場合は、整体より医療機関での評価を優先してください。
オステオパシーでは脳震盪後の身体をどう見るのか
オステオパシーでは、頭だけではなく、受傷時に加わった力が頭頸部、顎、頸椎、胸郭、筋膜などの動きや緊張にどのような影響を残しているかを確認します。伝統的な頭蓋オステオパシーでは、頭蓋・膜系・仙骨などの連続性も臨床モデルとして考えます。
当院ではこの理論をそのまま「病気の原因」と断定するのではなく、頭頸部や頭蓋周囲の組織緊張、頸椎・胸郭の動き、呼吸との連動などを評価し、必要に応じて頭蓋領域への穏やかな手技を含めた施術を行います。
脳震盪に対するOMTの研究はあるのか
脳震盪後の症状に対するオステオパシー手技(OMT)は研究数がまだ少なく、標準治療として確立したとまでは言えません。一方、小規模な無作為化試験では急性期の症状数・重症度や視覚記憶・反応時間に改善が報告された研究があり、脳震盪後頭痛を対象にした小規模研究では施術直後の頭痛強度の改善が報告されています。いずれも規模が小さく、持続効果を含めて今後の研究が必要です。
当院でご相談いただいた一例
高校時代のラグビー部で脳震盪を経験して以降、10年以上にわたり頭痛と吐き気に悩まれていた方がご相談に来られたことがあります。
当院では頭頸部を中心に全身を確認し、後頭部周囲や頸部に強い緊張・可動性の制限がみられたため、頭蓋領域への穏やかな手技を含むオステオパシー施術を数回行いました。経過の中でご本人から「あんなに重かった頭が嘘のように軽くなり、視界がパッと開けた」との感想がありました。
これは一人の方の経過であり、同じ症状の方に同じ結果を保証するものではありません。また、この変化だけから「後頭骨や頸椎が症状の原因だった」「頭蓋手技の特定機序が証明された」と結論づけることもできません。ただ、医学的な大きな問題が確認されていないのに身体症状が残っている方で、頭頸部や胸郭を含めて身体面を評価する意味を考える一例です。
医療評価とオステオパシーは二者択一ではありません
当院の考え方は「病院かオステオパシーか」ではありません。必要な医学的評価を受けたうえで、残っている頭痛・首の張り・動きにくさなどに対し、身体面から別の角度で評価するのがオステオパシーの役割だと考えています。
慢性的な頭痛については頭痛の症状ページもご覧ください。
参考資料
- Amsterdam 2022 Concussion Consensus Statement
- OMM vs concussion education randomized trial
- OMT for headaches associated with postconcussion syndrome
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